7 STARS
ふと横を見ると、奏人が空を見上げていた。
その横顔がやっぱりあの日のものと同じで、私も黙って横顔を見つめた。


するとその視線に気付いた奏人が私の手に自分の手を重ねる。
温みが心地良い。


優しく目を細めて、奏人は口を開いた。


「星、ちゃんと見ておこうと思って。
俺にとってはあの日が特別だから。」

「あの日?」

「菜々子と一緒に星を見た自然教室のあの日。
菜々子は俺の表情ばっか覚えてるけど、俺は菜々子の表情ばっかり覚えてるよ。」

「え…?」

「あの日、俺が見せた星空見て、菜々子、何て言ったか覚えてる?」

「私が?」

「うん。」

「私…何か言ったかなぁ…。」

「うわー…覚えてないんだ…。」

「だっ…だって私にとっては奏人の顔が忘れらなくて…。」

「じゃあ思い出させてあげるよ。
…『空がどこまでも続いてるみたい』って言ったんだ。
小学生にしてその言葉のセンス。さすがだよね。」

「…バカにしてんの!?」

「褒めてるの。これが、俺が地元を出るって決めたキッカケの言葉なんだから。」

「え…?」


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