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「ねぇ、奏人。」

「なに?」

「ぎゅってして?」

「いいよ。」


重ねていた手を解いて、その手をグイッと引き奏人が私を抱きしめてくれた。
奏人の力強い腕になんだか安心して、また涙が零れる。


「ずっとね、こうしてほしいなぁって思ってたんだ。
好きな人にこうされたら嬉しいだろうなって。」

「俺もずっと、抱きしめたかった。
もっと早く言えれば良かったね。」

「…ううん。なんかこうして今いられることが幸せなのは、いっぱい苦しい気持ちを味わったからなんだろうなって思うから…。」

「…それもそうかも。」


そう言うと、奏人は抱きしめる力を強めた。
心臓の音が直に伝わってくるような感覚に自然と笑顔になる。





「私ね…最終電車が嫌いだった。
それにこのホームから見る星も…嫌いだったの。」


奏人の胸に抱かれ、ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出す。
こんな風にしか言えない自分がちょっともどかしいけれど。

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