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「最終電車はいつも奏人を連れて行っちゃう。
恋人じゃなかったけど、それでも離れるのはやっぱり辛くて。
奏人と離れるのが嫌で、結局毎回見送りに来ちゃうけど、ギリギリまで一緒に過ごしちゃうけど…。
だからこそ、本当に見送る時間がどうしようもないくらい嫌いだった。」


奏人の手が私の頭を軽く撫でる。
その優しい手つきに落ち着きを取り戻す。


「奏人は知らないと思うけど、奏人を見送った後…
誰もいないホームで私、泣いてたの。
泣きたいって思って泣くんじゃなくて、奏人がいなくなってからすーっと零れてくるの。
そんな私をここから見える星はいつも照らす。
…夜に涙を隠して欲しかったのに、泣いてることを自覚せざるを得ないように、星は涙を照らす。
照らされると、すごく自分にがっかりするんだ…。
そんなに泣くくらいなら伝えればいい。もしかしたら進めるかもしれない。そんな想いが湧き上がるのに、結局言えない。やっぱり怖いから。臆病すぎて大切なものを大切だと言えない自分に、すごく落ち込む。
…そうやって今まで、全部星のせいにしてたの。」

「…そっか。」


奏人の腕がより一層強く抱きしめてくれる。
…安心していいよ、俺はそばにいるから。
奏人の声が、触れている部分から聞こえる気がする。


「でも、違ったんだね。
涙を照らして、私の臆病さを晒そうとしていたわけじゃなかった。
奏人も同じ空の下にいるってこと…言ってたのかなって。」

「…うん。」

「好きになればなるほど切なくて、寂しいよ…。いつでもそばにいられないこと。
でもね、だから今を大事にしたい。
最終電車を待つ時間、奏人と一緒にいることの出来る時間、同じ空を見ている時間を。」


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