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「晴輝、頑張ったんだ…。」


完全に父親の顔になって陽パパは頷いた。


「それで梨亜は何て?」

「なんでって訊いた。」

「そしたら晴輝は?」

「自分の力を試せるならそこに行きたいって。」

「うん。それで梨亜は?」

「…離れてもいいのって…。」

「そしたら?」

「…答えなかったの。だからあたし怒って置き去りにした。」

「うわぁ…置き去りかぁ…それはなかなか辛いものがあるなぁ…。」

「だって!晴輝、何にも言わなかったんだよ!別に離れてもいいって思ってるって…。」

「そうじゃないよ、梨亜。」

「え…?」


ひどく落ち着いた声で、優しく陽パパがそう呟いた。


「何も言わなかったんじゃない。
何も言えなかったんだ、きっと。」

「…どういうこと…?」

「あのね、寂しいのは同じなんだよ。どっちの方が寂しいとか、そういう大きさの比較をしても仕方ないんだ。
だって寂しさなんてそもそも比較のしようがないんだから。」

「……。」


確かにそう。でも晴輝は…。


「言わなかったもん、寂しいって。」

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