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「自分から離れる進路を選択しておいて寂しいだなんて、晴輝が言えると思う?
そういうところがやけに真面目なの、梨亜ならちゃんと分かってるだろう?」

「……。」


知ってるよ、そういうところ。
妙に律儀で真面目で、あたしがいっぱいワガママ言ってもちょっと嫌な顔するけどなんでも叶えてくれて…。


だから嫌なの。
今、傍にいてくれるから。
だから傍にいてくれない未来なんて想像出来ない。


「梨亜は今、晴輝に対して怒ってる気持ちが強いの?」

「…うん。」

「何を怒ってるの?」

「…今まで言わなかったことと勝手に全部決めちゃったこと。」

「それは…梨亜に相談してほしかったってこと?」

「…うん。」

「それはさ…もっと早くに言ってくれてれば近くにそういう大学を探すってこと?」

「…ううん。」


あたしは首を横に振った。


「怒ってる…んだけど、あたしだってそこまでワガママじゃないんだよ。
晴輝の将来を決めるのは晴輝じゃなきゃダメだってこともちゃんと分かってるし、晴輝が決めて頑張るっていうならあたしは…応援してあげなきゃいけないんだって、それが正しい姿なんだって分かってる。
だけど…もう11月で残りホントに少ししかなくて、それで心の準備とかそういうの出来るかは自信ない。
それにやっぱり…寂しいって思っちゃう。今素直に応援出来るかって訊かれたら、即答出来ない…。」

「そっか…。」


それはとても素直な気持ちだね、と笑顔のまま陽パパは優しく言ってくれて、なんだか本格的に泣きそうになった。

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