7 STARS
「っ…はぁ!?」

「痛いのはこちらの方、ということです。
前方不注意。以後、気をつけてください。」


少し低い声。
抑揚があまりなく、ただ淡々とそれだけを言い残してすたすたと去っていく。
足が長いから、歩幅も大きく、その背はどんどん遠ざかっていく。


「っ…はぁー!?なんなのあいつ!すっっっごいムカつく!」


小さくなる背中に向かって、大きく息を吸った。
そして…


「失礼極まりないのよあんたああああああああ!」





周りの人が一斉にこっちを向くけどそんなの気にしない。
だってだって…


あいつすっごいムカつくんだもん!


あたしの声が届いたかどうかは知らないけど、奴はあたしの方を振り返らなかった。


だからますます…


「ムーカーつーくー!!!!!」

「まぁまぁ美雪。夏原さんだからしゃーないよ。」

「夏原ぁ!?」

< 184 / 268 >

この作品をシェア

pagetop