7 STARS
『冬の正座』
と書かれた一冊の本。…ていうか重い。


「…やっぱり天体オタク…。」

「星が好きなだけです。それがオタクですか?」

「うっ…。」


真っすぐな目でそう言われると言い返せない。


「とにかくその本を返してください。」

「いっ…言われなくたって返すわよ!どーぞ!」

「…ありがとうございます。」

「え?」


…今こいつ、『ありがとう』って言った?
あ…有り得ない…よね?


「何ですか?」

「いやだって…今ありがとうって…。」

「拾っていただいたのですからありがとうは至極当然なのでは?」

「そりゃそうだけど、あんたの口からありがとうって…。」

「あなたは私をなんだと思ってるんですか?」

「別に何とも思ってないけど!」

「…お礼くらいは言います。それでは。」


あたしから本を受け取ると、またすたすたと歩行スピード速めで進んでいく。


「…まーた会っちゃったね、イライラの原因。」

「だから寒いからだってば!」

「はいはい。」

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