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階段を上りきった先に、ヤツはいた。


空を見上げる横顔がやけに白くて、…女みたい、なんて思ってしまう。
空へと向けられた吐息が白く染まる。
…だから、寒いんだってば。


「…っくしょん!」

「…誰かいるんですか?」


あぁもう!なんでこんな時にクシャミとかっ…。
でも、いませんなんて言えないじゃん。あ、言ってみようかな。


「誰もいませーん!」

「答えた時点でいることを認めてますよ。…またあなたですか。」

「あなたじゃないよ!藤堂美雪(トウドウミユキ)!」

「そうですか。では藤堂さん。」

「やめてよ!なんか気色悪い!」

「何がですか?ならば美雪さんの方が…。」

「やーめーてー!もっと気色悪い!」

「…意味が分かりません。ならば何と…?」

「呼び捨てで。あたしも夏原って呼んでるし。」

「…ではやはり、あなたでいきましょう。」

「…なんでよ?」

「呼び捨てで呼ぶほど、あなたと親しくはありませんから。」

「ぷっ…くく…あははー!」

「…何ですか?」

「夏原って律儀ー!っていうか真面目!」

「そうですよ。私は真面目です。」


…やばい、今の発言、妙にツボに入った…。

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