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「夏原は一言以上余計!」

「あなたの言動に隙がありすぎるんですよ。
…というか、ここにいてもきっとあなたにとっては退屈だと思いますよ。」

「…何すんの?」

「もちろん、星を眺めるんですよ。
ここが大学内では一番空に近い場所なんです。」

「ふーん…。」


ふと夏原を見上げると、もうその顔はあたしの方を向いていなかった。


ただ真っすぐに、星だけを見つめてる。


口元が、優しく緩む。


…わ…笑った…?


「…夏原、笑うんだ…。」

「だから、楽しければ笑うと言ったでしょう。」

「それじゃ、星を見るのは…楽しいの?」

「ええ、もちろんです。冬は私にとっては特別です。」


この前に聞いた声とは別の、柔らかくて優しい、それでいて甘く低い声で夏原はそう言った。


空を見上げた夏原につられて、あたしも空を見上げた。



…そこには、あたしの見たことのない世界が、広がっていた。

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