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そして、冷たい手が頬に触れた。


「…頬ももう限界でしょう。耳あて、二重手袋、マフラーにブランケット、全身にカイロを貼り付けて再挑戦してみては?」

「なにその全身防備!」

「そのくらいなくてはおそらくあなたは無理でしょう。」

「ぶっ!」


夏原の指があたしの鼻をつまんだ。


「ひょっ…なにひて…!」

「鼻も真っ赤です。どこかのクリスマスソングに出てくる生き物のようです。」

「ふぉ…ふぁなしてよっ…!」


パッと離れた手。
…鼻、痛い。そしてなんなの…心臓。息すんの…苦しいっ…。


「私ももう帰ります。本格的な観測は明日の方が向いているようですし。」

「え…?」

「雲がやはりやや多い。
おそらく明日の方がもっと美しいですよ。」

「そうなの?」

「ええ。私は嘘を吐きませんから。」

「あーだから毒舌なわけ?」

「別に毒舌じゃないですよ。とにかく、もう遅いです。帰りましょう。」


夏原が階段の方に向かう。
…しゃーない、夏原が寒くなったから帰るって言うんならあたしも帰るよ。

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