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「夏原って妙なところ優しいんだねー。」

「別に常識でしょう。私が優しいということは否定しませんが。」

「あ、否定しないんだ。」

「優しいか優しくないかの二択しかないとすれば私は優しい方に入るかと思いますが。」

「ふーん。」

「それで、どこの門から帰るのですか?」

「北門。」

「奇遇ですね。私もです。」

「あ、そうなの?家どこ?」

「●○町です。」

「え、同じなんだけど…。アパート?」

「ええ。一人暮らしですから。」

「何丁目?」

「5丁目です。」

「あたし4丁目だよ!」

「近くて丁度良かったです。反対方向ですと若干面倒ですし。
では行きましょう。」

「はいはーい。」


ペダルをぐっと踏み込んで、スピードを出す。
涼しい顔をして、夏原が隣に並ぶ。


「うぅー…寒っ…。」


走り出した瞬間が一番寒い。
少し走れば多少は温かくなるけど…。


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