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* * *


そうこうしているうちに家まで着いた。
…ホントに送ってくれちゃってるし。さすが律儀な夏原!


「わざわざどーもでした!」

「…どうしてあなたは『ありがとう』と一言言えないのですか?」

「はぁー!?どーもって言ったじゃん。」

「日本人ならば適切な日本語を使うべきでは?」

「ありがとーございましたっ!」

「…やれば出来るじゃないですか。」


…なにその上から目線。そういうとこ、ムカつくんだってば。


「…私は晴れた日の夜は大抵あの場所にいますので、気が向いた時にはどうぞ。」

「寒いから嫌!」

「ですから、私が提案した完全防備でいらしてはいかがですか?それで寒いならあなたはもう人間をやめたほうがいいかもしれません。
もし天変地異が起きて日本が北極のような寒さになってしまえば間違いなく凍死でしょうから。
早く体毛の濃い動物になるべきでは?」

「はぁー!?あんた、あたしにサルに戻れっつってんの?」

「まぁ、サルならば戻れるかもしれませんね、あなたなら。」

「またバカにして!」

「いえ。バカにしてなどいませんよ。ただ…。」

「ただ、何よ?」

「星を見つめる目は好奇心に満ちていましたよ。
きっとあなたはその好奇心に負けてあの場にやってきます。」

「行かないってば!」

「…待っていますよ、あなたが訪れるのを。それでは、今晩は温かくして休んで下さい。」

「あ、待てこの夏原!」


…夏原はあたしの声に振りかえることもなく、そのままチャリをこぎ始めた。
くっそー夏原め!言いたいことだけ言っていなくなるなんてなんてやつ…!
てゆーか…


「寒いの嫌だし、冬、嫌いだし…絶対絶対行かないからーっ!」


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