7 STARS
寄越しなさいと言ったくせに、あたしが手を動かす前にパッと手を掴まれる。
あたしよりもはるかに大きな手がそっとあたしの手を包んだ。


「温めて差し上げますよ。これでケチという言葉は撤回していただけますね?」

「っ…!いきなり何すんのよっ!」


そう言って振りほどこうとするけど、夏原の力は意外と強い。
…つまり、太刀打ちできない。


「何って、温めて差し上げると言ったでしょう?人の話はきちんと聞くべきでは?」

「聞いてるっつーの!あ、待って!あと何秒!?」

「…何がですか?」

「カウントダウン!時計見て!」

「…残り17秒です。」

「ぎゃーやばい!あ、10秒前からカウントダウンだよ?夏原も!」

「カウントなど、私達がせずとも時計がしてくれ…。」

「あーそういう理屈っぽいことはなし!はいいっくよー!10、9…ほら夏原!」

「…5、4…。」

「3、2、1…ハッピーニューイヤー!
あけましておめでとう!夏原っ!…っ!近いんだけどあんた!」


ちょっと…勢いをつけすぎたあたしも悪いけど…
夏原が本当に少し見上げた先にいる。


「近いと言われても手を温めているわけですし。
…それより、あけましておめでとうございます。」

「…お、めでと…。」


…なんなのよこいつ…人の気も知らないでー!

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