7 STARS
* * *


背中に晴彦の体温を感じながら天の川を眺める姫乃。
晴彦は姫乃を抱きしめる手を緩めることもなく、言葉を落としていった。


「織姫と彦星って、ちゃんと星があるんだよ。」

「え?そうなの?」

「うん。こと座の一等星ベガを織姫星、わし座のアルタイルを夏彦星って言うんだ。」

「知らなかった…。」

「じゃあさ、なんで二人が年に一度しか会えないか知ってる?」

「それも…知らない…。何か悪いことでもしたの?」

「そうなんだよ。織姫は元々機織の上手な娘で、彦星は働き者の牛飼いだったんだ。
天帝は二人が働き者でいいやつだったから結婚を許したんだけど、いざ結婚したら二人でいるのが楽しくなっちゃって、仕事をしなくなった。
だから天帝が怒って、二人を天の川で引き離したんだ。」

「…そんなお話があったんだ…。」

「でも天帝だって無慈悲じゃない。
だから1年に1度だけ、会わせてくれる。7月7日、七夕に。」

「…1年に1回じゃ…寂しいよ、絶対。」

「そうだな…。1年に1回なんかじゃ足りない。」

「…わっ…私…。」

「ん?」

「勉強もサボらないし、ハルくんにワガママ言ったりしないから…だから…。」


姫乃の顔に急激に熱が集中する。
そのせいで上手く言葉が出てこない。



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