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息をやや切らしながら、鍵をじゃらじゃら持ってやってきたのは齊藤だった。


「さ…齊藤先生…。」

「何してんだって聞いてんだけど。」

「えっと…本を山積みにしてて、手違いで肘が当たってこの有り様に…。」

「んなもん、見りゃ分かる。
なんで本を山積みにしなきゃなんねぇんだよ。」

「それは…探し物してまして…。」

「探し物?」

「ってそんなことはいいんですよ!!
齊藤先生こそ今日日直なんじゃ…。」

「日直として校内回ってたらすごい物音して、挙句女の悲鳴まで聞こえたら走ってくるだろ。」

「す…すみません…。」

「いい。怪我はないんだよな。」

「え…?」

「肘も大丈夫なんだろ。」

「あ…えっと…はい。」

「ならいい。」


そっけなく齊藤はそう言ってしゃがみ、落ちた本を拾い始めた。


「えっ!?あ…齊藤先生!!大丈夫ですから日直の仕事しちゃってください。」

「これくらい構わねぇよ。それにお前、集めたそばからまた崩壊させそうだし。」

「そっ…そこまでそそっかしくはないつもりです!!」

「あの資料のクオリティーでそれ言うか?」

「なっ…。」


汐織は赤面した。
…確かにちょっとあの資料は不出来だったけれど、それをここで引き合いに出されるとは思っていなかった。


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