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手際良く本を集め、本棚に戻す齊藤。
少し空いたスペースに、汐織が集めた本を戻す。


「あ…ありがとうございました。」

「探し物は見つかったのか?」

「あ、いえ。まだなんです。もう教室にはないかなって。」

「子どものか?」

「あ、はい。華音ちゃんの給食袋がなくなっちゃったらしくて。
ご家庭には連絡して、なければないでいいですからとは言われたんですけど…。
最善は尽くしたいなと思いまして。」

「…なるほどな。
教室は全部見て、それでもなかったんだな?」

「はい。
子どもたちにもチェックしてもらったし、私も見直したので間違いないと思います。」

「昇降口から教室までの間かもしくは通学路か…。」

「はい。なのでとりあえず学校内から頑張ってみようと思ってます。」

「妥当な線だ。俺もまだ施錠確認があるからそれがてら見てはみる。
袋の特徴は?」

「えっと…黄色がベースでドット柄で…ドットは白です。あんまりサイズは大きくなくて、中に入ってるランチョマット…は、えっと確か…オレンジがベースのキャラクターものです。」

「そんなのまで覚えてるのか、お前。」

「あ、はい。給食の時とか、各班回ってるので。」

「…分かった。気を付けて見てみる。」

「ありがとうございます!!」


汐織の顔はぱあっと笑顔になった。
こういう時の齊藤の存在はやはり頼もしい。
そう思うからこそ笑顔になったのに、齊藤はなんだかちょっと不機嫌そうに視線を逸らした。
そして汐織に背中を向けて教室を出ようとする。


「おい。」


汐織に背を向けたままの齊藤が口を開いた。



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