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「施錠確認終わりました。」

「おー齊藤先生、お疲れ様。」

「いえ。あ、竹谷先生。」

「どうかした?」

「浅野先生は…もう帰宅したんですか?」

「なんだか慌てて鞄だけ引っ掴んで帰っていったよ。
珍しく帰りもジャージのままだったし。いつもなら着替えて帰るのに。」

「何か言ってませんでした?」

「見つからないからお先に失礼します、だったかな?
一体何がって感じだよね。いつも肝心なところが少し抜けちゃうのが浅野先生の可愛いところだけど。」

「…本当に大事なところ抜けてますね。」

「でもすごく必死そうな顔してたよ。何を探すのかは知らないけど、あんまり遅くならないといいなとは思って。
浅野先生の性格だと、日が暮れるのも気にしないで探しちゃうような気がしてね。
最近は日が伸びてきたとはいえ、暗くもなるし。不審者もいないわけじゃないし。」

「確かに。突っ走りやすいですから。」

「いつも止めてる齊藤先生の苦労も知ってほしいところだね。」

「本当に。」

「でもとにかくお疲れ様。今日はもう帰る?」

「そうですね。特に何もないんで。では、お先に失礼します。」


そう言って齊藤は深く一礼して職員室を後にした。
職員玄関で靴を履き替え、誰もいないのを確認してからぼそっと吐き出す。


「…あのバカ。この前不審者出たばっかだっつーの。」


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