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どさっと草原に男が倒れる音も聞こえた。
しかし汐織は起き上れずにいた。
そんな汐織の視界に飛び込んできたのは―――齊藤だった。


「さ…さいと…う…せん…せ…?」

「起きれるか。」

「えっと…。」


力を入れてみようと思うものの、上手くいかない。
どうやら自分はかなり怯えていたらしい。


「いい。そのままでいろ。
あ、警察ですか?○○公園で女性に猥褻行為をはたらこうとしていた男を捕まえたので引き取りに来ていただけませんか?」


警察に通報したのだろう。
齊藤に結構本気で殴られたらしい男は、両腕を齊藤に掴まれた状態でいた。


5分と経たないうちに警察がやってきた。
そして男は引き渡され、汐織も事情聴取にと呼ばれたが、そこには齊藤が割って入った。


「彼女はかなり怯えています。今すぐというのは酷な話ではないでしょうか?
私は美空小学校で教師をしております、齊藤です。彼女も美空小学校の教師です。後日彼女と私が警察の方に伺うという形で今日はよしとしていただけませんか?」


齊藤はそれから少し警察と話し、警察はとりあえずそこで一旦引き、事情聴取はまた後日ということになった。


放心状態で起き上れないでいる汐織のそばに、齊藤はゆっくりと近付いた。
そして汐織の顔の方でしゃがんだ。

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