空
すると、10秒も経たないうちに若い女性の声が聞こえてきた。
「はいは〜い、ちょっと待ってね……と」
扉が開かれ、中からは綺麗な女性がでてきた。長いブロンド色の髪を後ろで結い上げ、眠いのかパッチリ二重であろう目は垂れ下がっている。目線を少し下にずらせば、就寝前だったのか薄着で軽い服を身につけている。
それでも女性の品格を失われないのは、この女性の表情であろう。
今も優しく微笑んでいる。
「こんな時間にどうしたの〜?」
「あ……いえ、その……イリアさんを」
少しその表情に見惚れながらも此処に来た要件を伝える。
口数少ない言葉でも伝わったのか、僕の背中で寝ているイリアを見て納得する。