空
「……」
少年は下を向き、無言を貫き通す。否定も肯定もしないそんな少年に、金髪の少年は苛立ちを隠せないようだ。
「――テッメェ!!答えろよ!!」
その言葉とともに、一瞬で近づいて手に持っていた剣を振るう。その速さに伴った鋭い斬撃を。
速すぎて後には、金色の残像しか残らない。
「……」
だが黒髪の少年には見えているようだ。眼前まで迫っている剣を、自分が持っている剣で軽く流す。
だが鋭い斬撃は一撃では止まらない。
何十、何百発も剣を振るうが、少年も全て受け止める。
そして雷の騒音とともに、お互いに距離をとり睨み合う。
「アル……もう、やめてよ」
黒髪の少年がポツリ、とそう言う。アルと呼ばれた金髪の少年も、それに応える様に口を開く。
「殺らなきゃ……殺らなきゃ、俺が――んだよ……」
「……え?…………ごめん……雷で聞こえ、なかった……」
……本当は、聞こえていた。
アルと呼ばれた少年の口から、不吉な言葉が告げられる。