殲-sen-
全て現実。
分かっているのに信じたくなくって、そのまま砂利に寝転んで思考を止める。
誰も居ないのだから、何も気にならない。
はぁっと疲れをため息にして吐き出す。
夜だが夏であるため、さほど寒くない。
誰もいない人の家は不気味なので入りたくない。
それに、さっきから感じる違和感が、『入るべきではない』と告げている。
ここで寝たって私は気にならない。無防備過ぎることは理解していても、少しやけになってしまう。
もしかしたら、寝ている間に誰かが見つけてくれるかもという儚い希望だって持っている。
月明かりだけの薄暗い中、道のど真ん中で寝ることにした。
というより、疲れによる眠気に逆らえなかった。
「……」
うとうとと、意識が深くに入っていく寸前―――
ザッ
ザッ
急に足音がした。