殲-sen-

バンッと玄関の扉が勢い良く開かれたかと思うと、誰かが私に抱きついてきた。

「うぁっ!!」

「――希咲ちゃん!!」

よく見ると、それは由実だった。

ボロボロと大粒の涙を流しながら私に縋りついている。



「…やっぱり、由実もここに来たんだ。」

予感は当たっていた。

未だに縋りつく由実を見て、少し安心感に包まれる。
と、同時に由実もここへ来てしまったという事実に頭を悩ませた。

こんな辛い境遇に彼女は耐えられるだろうか。

「…おい。」

ふと声をかけられ、その方向に目をやると二人の男性が立っていた。

多分さっき話していた人だろう。外観からも声と同様に20代前半と30代後半にみえる。

20代の方は長めの茶色の髪にスラっと細く今時の格好をしている。

30代の方は黒色の短髪の少し小太りで、ワイシャツにジーンズと言うラフな格好をしている。

さっきの由実の言葉から察するに、由実を外に出さないようにしていたのはこの人達だろう。

声をかけたのはその中の若いほうだった。

「お前は…あいつらと同じじゃないよな?」

険しい顔をして訊いてくる。
あいつらとは、一体誰のことを指しているのか?

しかし、私は該当するものが見当たらないので否定することにした。

「ちが――」
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