殲-sen-

自己紹介が終われば、田代さんが思い出したのか、ポツリと呟くように問う。

「ねぇ…君たち。此処に来る直前の記憶ってどんなのだった?」

興味深げに私たちに視線を向ける。

それに檜山さんのも重なる。

「え…どんなのって…。」

由実と二人で顔を見合わす。

そして由実が、

「私たちは私のお祖母ちゃんの家にいました。

希咲ちゃんはどうか分からないけど…そこで女の人に会いました。」

その言葉を聞き、

「私も同じです。」

と言うと、由実がそうなんだ…と小さい声で言ったのが聞こえた。

すると檜山さんは、

「女?俺たちは見てねぇな。


…それよりもお前ら、死にかけたりしなかったか?」

と、突拍子も無い事を聞いてきた。

私と由実は驚いたように再び顔を見合わせた。

「いえ…。そんな記憶はありません。」


フルフルと首を横に振ると、それを見た檜山さんは考えるように顎に手をあて、
重々しい口調で言った。




「お前ら二人以外は死にかけた…
いや、死の直前のような記憶があるんだ。」




一瞬何を言っているのか分からなかった。

死って、そんな…



「由実…だっけ?お前が目覚める前に他の二人と話した事がある。

俺ら三人は此処に来る前に死に繋がるような記憶があるんだ。」

檜山さんは続けた。



「俺には事故った記憶がある。

バイクの運転中にトラックに轢かれて跳ね飛ばされたのを鮮明に思い出せるからな。

んで、そっちの田代さんは通り魔に派手に刺された記憶がある。

そこで寝てる夕には川に落ちた記憶がある。

まぁ、幸いなことに全員痛みも何も感じずに気づけば此処にいたんだが。」



言葉を失う。
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