殲-sen-
「着いたな…。」
「…はい。」
前とは景色が違って禍々しく見えるのは、真実を知ってしまったから。
私たちはまず此処に手がかりを探すことに決めた。
あの女性と男性の行方が分からない以上、無闇に遠くに行くのは危険で、何かを秘める此処を調べる方が得策だろうと考えたからだ。
…まぁ、どこいったって死とは隣りあわせだ。
この世界にいる限り、生きているかどうかさえはっきりしない。
「此処に近い場所の建物の方がいいな。」
――――何かあったときのために。
その言葉が思いのほか重たく、私に圧し掛かる。
来てしまった。
直面すると気持ちが揺らぐ。
「…はい。」
そう言いながら、急に怖気づく自分が悔しい。
さっきよりも震えが止まらない。
その様子に檜山さんは、
「…やっぱりな。おかしいと思ってたんだよ。その年で平気な顔してるなんて。」
ふぅっと溜息をつく。
檜山さんは最初から分かってたのだろうか。
だから、頻りに声をかけてくれてた?