殲-sen-
ズチャ、
ズチャ、
ズチャ
…ピタ
急に足音が鳴り止む。
ア゛ア゛…、という奇声の中にグフ、と笑い声が含む。
―――――これってっ!?
見つかったと思い、小太刀を取り出す。
しかし、動こうとすると、ギュッと強い力で抱きしめられた。
一瞬どうしたのかと思ったが、これは動くなという合図なんだと気づいて、そのまま静止する。
私からは何も見えないため、どうなっているのか、どこにいるのか全く分からない。
檜山さんはずっと後ろを向いてて表情は分からない。
暫くすると、再びズチャズチャと足音がなり、それは次第に小さくなっていった。
足音が止むのを確認すると、檜山さんの腕が緩められて解放される。
「気づかれなかったですね…。」
そうホッとしながら言うと、檜山さんはきつそうな顔をして、
「…違う。」
私に振り返ると、握り締めていた書物を差し出す。
「これ持ってろ。それから…急ぐぞ。」
差し出された書物を手に取ると同時に、腕を捕まれ部屋の出口まで走り出す。
「檜山さん…っ!!そんなに音をたてたら気づかれます!!」
「もう気づかれてんだよ…っ!!」