殲-sen-
自嘲的な笑みを浮かべる檜山さんの背中を思いっきり引っ叩いた。
バシッと大きな音が響いて、檜山さんは痛みに顔を歪ませる。
「いってぇ。」
「……あれは人間ではありません。」
きっぱりと告げる。
檜山さんの視線が合わさる。
「檜山さんは人なんか斬っていません。
区別をつけてください。」
なるべくこの気持ちが伝わるように鋭く睨むと、檜山さんは吃驚したように目を見開く。
少しの静寂の後、私の気持ちが伝わったのか、フッと今度は自嘲を含まぬ柔らかい笑みを見せてくれた。
「なぁ…ちょっと来いよ。」
少し手招きをされて、直ぐ隣に座ると、ゆっくりと手が私に伸びてきて、キュッと優しく抱かれる。
深く重たい息が耳にかかる。
「これが…人だよな?」
檜山さんは戸惑いながら聞く。
それに応えて背中に手をまわす。
「そうです。」
ほんの少しこの時が続くと、ふと腕から解放され、檜山さんは立ち上がった。
「行くか。」
差し伸べられた手を軽く握って立ち上がる。
「…お前、やっぱり強いな。」
そう言われて、結局どっちなのだろうとどうでもいい事を考える。
「芯が真直ぐなんだな。弱い部分もあるがそれは年相応として。」
真面目に告げた後、急におどけたように、