殲-sen-

中に入ると、私たちは居間に向かった。
家の印象は普通の木造の家だったので特に強く残るものはなかった。

ただ、なんとなく趣があっていい家だなあと思う。

家の中は、家を出る前にきちんと掃除していたみたいで、数日経っても少し埃がかっている場所があるものの、ほとんど汚れていない。

居間に着くと荷物を置いて一息つく。

「……ふぅ。」

その場に座り込むと、先程から歩いていた疲れが少し出る。

すると、それを聞いた由実は、

「希咲ちゃん疲れた?ごめんね。たくさん歩かせて…。」

「いや、全然気にしなくていいから。私の体が軟弱なだけ。
…それよりもお腹すいた。」

時計を見やればもう午後2時を過ぎている。
昼食は着いてから食べようとの事だったので、行きに材料を買っただけで何も食べていない。

さっきから私のお腹は悲鳴を上げっぱなしだった。

早く助けてやらねば。

「そうだね。ご飯にしよっか。ちょっと待っててね。」
由実はグーっと鳴る私のお腹の音を聴き、プッと笑いながら材料を入れた買い物袋を持つと居間を出て行った。
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