殲-sen-


…まぁ、今それを考えたところで答えは見出すことはできないことは分かっている。



少しだけ思考を止めて浴槽の縁に体をあずける。


よく由実に言われる、意味ばかり探求する癖を直したほうがいいかもしれない…なんて思いながら。



その後、浴槽を出て体を洗っていく。

私が出たら話を始めると言っていたので早めに済ませようと少し急ぐ。


最後にもう一回浸かろうと浴槽に入った時、突然聞いたことのある音を耳にした。




――――チリンと一鳴り。

ハッキリと聞こえた。


私が女の人に会ったときに聞いた音と寸分違わぬ音。


音の大きさからして遠くであるのに、濁りなく耳に入ることはおかしいが、そんなことよりもまずその姿を探すことで頭がいっぱいになった。


立て付けの悪い窓を思い切り開け放し、遠くの木々の隙間を念入りに探していく。




「――――いた。」




女の人はゆっくりと森の奥の方に入っていく途中だった。
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