殲-sen-


――チリンッ


どこかできれいな鈴の音が聞こえた。
一般的な鈴というよりは風鈴に近いよく透る音色。

今は季節にもあっているので、特に気にすることではないのだけれど、やけにはっきりきこえたのであたりを見回している。

ん?
近くには鈴は見当たらない。
するとまた、


――チリンッ


何処から聞こえるのだろう。
特にすることもないため、鈴の音がする場所を探してみる。

すくっと立ち上がり居間の中をうろうろしてみる。


――チリンッ


連続して一定の時間で鳴っている気がする。
…そして、なんとなく音が大きくなり、近付いている気がする。


――チリンッ


「…っ」

やけに耳つく音。

原因を突き止めようと、少しムキになる。

居間の中をざっと見ても鈴は見つからないため、他の場所だろうかと思う。


――チリンッ


ああ、もうまた!!
しつこく鳴り続ける音にイライラして居間の外に出た途端――――







――――そこには一人の女性が立っていた。
< 6 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop