殲-sen-
え……
その場に立ち止まり、女の人を見つめる。
女の人は独特な形をした赤紫の着物を身に纏い、所々見たこともないような華の装飾が施されている。
そして――
帯紐には少し大きめの華の形の鈴が付いていた。
さっきからしていた鈴の音は、あれが彼女が歩く度に鳴っていたものだったのだろう。
女の人は私を瞳に映すと、一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに真顔になる。
だ、誰??
予想もできなかった自体にどうしていいか分からず、口を開くが言葉が出ない。
一人であわあわとしていると、女の人はゆっくりと近づいてきた。
そして、口紅で真っ赤に塗られた唇うっすらと開き、音にはならない言葉を紡ぐ。
――――…。
その瞬間ピリッと全身に弱い電流のようなものが走る。
「―っ!!!」
別に痛いわけでもないのに、急に体が動かなくなってその場に立ち竦む。
女の人はさらに私に近づき手を私の顔に翳して、
再び言葉を紡ぐ。
――――…。
そして、
―――プツン
私は意識を手放した。
【chapter.1 -end-】