殲-sen-
しかし、考えてみるものの良い策は見つからない。
「…これからどうすればいいんだろ。」
ぼそりと呟いても、答えてくれる人はいない。
シーンと、耳鳴りのような静けさがそこにあるだけだった。
その静寂は今まで現実味がなかった私にとって、本当に一人だということを自覚させるものになった。
「――っ。」
途端に怖くなり、体が小刻みに震え出す。
先程までのまだ少しぼんやりした頭はハッキリとし、現状を飲み込んでいく。
とりあえず、辺りを探索しなければ。
山に捨てるぐらいなので、滅多に人のいないところだと思うが、動かなければ何も状況を変えることが出来ない。
震える体を叱咤してゆっくりと立ち上がる。
何処に行かばいいかも分からないので、ひたすらに歩くことにした。
私は方向を一つに定めて一歩ずつ歩き始める。
無心に歩き続けて暫くして、ふと思ったことがある。
由実はどうしているのだろうか。
私のようにあの女の人に出会ってしまっていたら、彼女は私のように捨てられたのではないだろうか。
普通は同じ場所に捨てるような気もするが、例外も考えられなくはない。
家の中にいるのに、合わない確率は高くはないだろう。
女の人は何の目的でいたかも分からないのだから、彼女が同じ境遇になる可能性も否めない。
もしかしたら、彼女もどこかに……。
そう思うと、途端に焦燥にかられる。
そうでない事を願いながら足を進める。
それからは、どのくらい歩いたかは分からないが、足が痛くなって石のように重たくなるくらい歩き続けた。
時計は持っていなかったので、正確な時間は分からないがもう何時間も歩き続けている事だけは分かった。
もう立っていることさえ辛くなり、疲れてひと休みしようかと思ったその時、
「やっと…」
奥のほうに長い森終わりが見えた。