zinma Ⅱ



とたんにカリアから殺気が吹き出す。


それに僕も、

「よろしくお願いします。」

と頭を下げ、殺気を解放する。




そして、走る。




カリアに向かって、本気で拳を叩き込む。


カリアはあっさりそれを流すと、その僕の勢いを利用して、僕を投げる。



しかし僕はそれをさらに利用して高く飛ぶと、着地までに魔術を描く。

それにカリアも反応して反対魔術を描く。


だから僕は、右手で魔術を描き続けながら、ばれないように、左手でも拳大の小さな魔術を描く。



着地と同時に、右手の魔術を発動する。

大きな炎の渦が、僕の魔法陣を中心として、現れる。



同時に僕は、完成していた左手の魔術を、左手の手の平に貼付ける。



カリアが反対魔術を発動し、濁流がカリアから放たれ、僕の放った炎を打ち消す。



計算通りだ。



僕は、炎と濁流が打ち消しあって生まれた、すごい水蒸気の中へと突っ込む。


駆け抜ける。



そして左手の拳を、突き出す。



カリアは突然現れた僕に少し驚いたようだが、冷静にそれをまた受ける。


しかし僕はそれと同時に、その拳を開く。


手の平の魔法陣を、発動させる。



カリアが驚いた顔をする。




魔法陣から、小さな雷が現れる。


それがカリアに当たりかけたところで、カリアが身につけていた銀の腕輪を外す。


雷に向けて投げる。



雷は腕輪に当たり、帯電して、腕輪が地面に落ちる。


それと同時にカリアが油断していた僕を掴み、地面に叩きつける。





そこでファギヌが、

「止め。」

と声をだす。




カリアが力を抜き、僕を解放する。


僕は立ち上がって挨拶をする。


「ありがとうございました。」




するとカリアが、じっと僕を真剣な顔で見つめる。



それに僕は頭をかしげる。





と、そこで。






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