zinma Ⅱ
「……すごいじゃないかレイ!」
と言ってファギヌが僕の背中を叩く。
突然の衝撃に僕は驚きながら、ファギヌを振り返る。
するとファギヌは興奮したような顔で、
「いまの戦闘はすごかった!
初めてにしては満点だよ!」
と言う。
いつも優しげなファギヌの、興奮した様子に僕は目を白黒させながら、とりあえず、
「ありがとうございます。」
と笑った。
それにカリアも、
「たしかに今のは良かった。」
と言ってくれる。
それに僕はいつものように、にこにこと笑う。
嬉しいという感情を、なんとか表現する。
そうじゃないと、感情が顔に出なくて。
するとカリアが、
「それにしても、今の戦い方は独学なのか?」
と聞いてくるので、僕はうなずいてから、
「いつもカリア師匠との魔術の修行で、魔法陣を描いている間の僕には、相当な隙があるとは思っていましたから。」
それにカリアは一度うなずいてから、
「それで?」
と聞くので、
「はい。それで、魔法陣を描く時間ができる隙がどのタイミングで現れるのか、ファギヌ師匠との体術の訓練で、何度か探してみたんです。」
「それで今のような戦い方が思い浮かんだわけだね?」
とファギヌが聞く。それに僕はうなずく。
するとカリアが、
「着眼点も良いな。
それが魔術師の戦い方のポイントだ。
魔術を使うのを焦らず、隙を作る。」
「はい。」
それにカリアも満足げにうなずいて、
「よし。今日はもうこれで休みでいいぞ。優秀だった褒美だ。」
と言ってくれるので、また僕は微笑んで、
「ありがとうございます。」
と言い、その場を去った。
何をしようかな、と思う。
小屋に着くまでいろいろ考えて、いま読んでいる戦術の本をまた読もう、と決める。
また森の木に登ろうかな、なんて考えながら、僕は本を手に取った。