zinma Ⅱ
魔術は、見る人が見れば見ることのできる、空中をふわふわと浮かぶ、きらきらした霧、魔力と呼ばれるそれに干渉することで、使える。
その魔力は、自然の物体に含まれているために、土や木や花や草や風を、自由自在に操ることができるのだ。
人間にもかつて魔力はあったが、交配して数を増やしていくうちに、薄まってしまった。
ルミナ族は、なぜかその血が衰えなかったために、魔術が使えたらしい。
そのため僕が見ても、カリアとファギヌから、とても濃い魔力を、僕は感じとれるわけだが。
今の僕には、彼らふたりを合わせたのよりも大きな魔力があふれているが、それもふたりは知らない。
僕が隠しているから。
僕はその魔力によって、もうたくさんの魔術を改良していた。
より強く、より実用的に。
さらに僕は、この世にあふれる魔力に、うまく干渉すれば、『妖精』を呼び出せることを知った。
『妖精』は、いわゆる、魔力の結晶だ。
うまく魔力を集めれば、その結晶が産まれ、『妖精』を生み出せるようになった。
『妖精』は、いろいろな民謡に伝わるような『妖精』と、同じような姿をしていた。
美しい、少女の姿。
少し透明なその体は、人とは違う色をしている。
全体が緑っぽい『妖精』もいれば、青っぽいものや、ピンクのものもいる。
その『妖精』を呼び出すと、魔術を、より自分のものとして使えるようになる。
一度『妖精』を呼び出せば、ただ頭のなかで指令を出すだけで、いちいち魔法陣を描かなくても、魔術を使える。
いま僕は、風の『妖精』を呼び出していた。
最近では『妖精』も僕を気に入ってくれたらしく、すぐに来てくれて、僕の周りを楽しそうに飛び回っている。
僕が手を差し出すと、手の平ほどの大きさの『妖精』は、僕の手の平に、静かに座った。