zinma Ⅱ
今年で僕は15になった。
今日もいつものように、目が覚めた。
時間どおりに目が覚め、まだ明るくなり始めたばかりの朝の空気を吸い、念入りに柔軟体操をする。
そうして体を温めたあとは、朝食の前にまず森へ散歩に行く。
今日は特別に、天気の良い日だ。
森を歩いていたとき。
「レイ。」
と呼ばれる。
カリアの声。
人の気配はないから、おそらくまたあの魔術だ。
それに僕も同じ魔術を発動する。
「師匠。聞こえてます。」
「朝食を食べたら、いつもの場所に来い。」
いつもの場所とは、たぶんいつも戦闘訓練をしている空地だろう。
なぜ今日はそんな早くから?
最近では訓練が始まるのは午後からで、午前中は自由に自分で訓練をするという予定なのに。
だが師匠たちが考えなしに行動するはずがないから、
「わかりました。」
と言う。
それに師匠の魔術が消えたのがわかる。
今日の師匠は、どこか様子がおかしい。
それにひどく嫌な予感がする。
なぜか自分の中の『選ばれしヒト』が、うずく。
僕はその予感を取り払うように首を振り、来た道を戻っていった。