zinma Ⅱ
師匠と弟子
あの村を出て2年。
僕は10歳になった。
4歳のときに軍に連れていかれ、実験対象とされること3年。
7歳で村に逃げ、8歳で村を出た。
ここでの生活はとても穏やかだった。
2人の師匠のカリアとファギヌと生活していると、僕の気持ちがとても楽になる。
というのも、2人はほんとうに強くて、僕より全然強くて、修行をしてもらっている間は、いつも僕は自分の弱さを実感する。
だから、僕が化け物だということを忘れていれるのだ。
まるで、ただのひとりの弱い人間に、なれたようで。
修行は毎日行われる。
カリアがやってくれる魔術の修行や、ファギヌの体術。
そして魔術や自分の力についての勉強をして、小屋にそろえられた様々な文献を隅々まで読み、知識をたくわえた。
食料の調達や、料理や掃除もやった。
これらはすべて、僕が一人で生きていくため。
僕が強く生きていくため。
そして僕が、長く生きるため。
僕が『選ばれしヒト』としての、義務を果たすためだった。