zinma Ⅱ



そのうち、私とファギヌは、お互いを愛し合うようになった。


お互いに助け合い、何度もお互いの命を救った。





あるとき、驚くべきことがわかった。






妊娠だ。








私のお腹に、子供がいた。




私と、ファギヌの子供。






もちろん私は嬉々として軍に報告をした。


子供ができたから、一番故郷に帰らせてほしい、と。



しかし軍の反応は、最悪だった。






もし故郷に帰るのなら、軍役の放棄として、お前の故郷をつぶす。






信じられなかった。


さらにそのあとすぐに、次の出兵先の通知がきた。

生きて帰ってくる者が今だにいない、最悪の戦場だった。



このまま軍にいれば、子供もろとも、私たちは死ぬ。



しかし帰れば、その帰る先が消される。







その答えは、もう決まっていた。







私たちは、故郷に手紙を送った。




事のいきさつ。

これから死ぬ。
死にに行く。

どうか皆、元気で、と。




するとすぐに返事は帰ってきた。






帰ってこい。










私たちは、そんなことできなかった。


返事を返すこともできず、結局、出兵の日になってしまった。



それまで何通も何通も、手紙は届いていた。


だが、私たちのためだけに、村が消えるのは…………








私たちは戦った。


必死で。



なんとか生きたくて。











だけど。








< 23 / 104 >

この作品をシェア

pagetop