zinma Ⅱ
世界が真っ白になる。
そこには僕と、師匠たちしかいない。
さらに、師匠たちも、人間の形をしていない。
そこには、大きな蛇と、大きな鳥。
だがそれが師匠たちだとわかる。
師匠たちの中の、『呪い』だ。
そこで、自分は人間の形をしているのか、とふと思い、自分を見る。
形はどうやら、人間だ。
だが、肌の色がちがう。
青白く、輝く肌。
髪も、白髪になっている。
明らかに、この世の生き物ではない。
それに僕は、少し悲しく眼を細めてから、前の蛇と鳥を見る。
僕の身長の、2倍はありそうな、巨大な身体。
そんな恐ろしい見た目をしていながら、どこか彼らの眼は悲しげに見える。
タベヨウタベヨウ。
また『選ばれしヒト』が言う。
だが僕は、なぜか抵抗しない。
それは、『選ばれしヒト』の意識が強いからなのか。
感情が完璧に消えたからなのか。
ちがう。
なぜか今、師匠たちの感情が、僕になだれ込んできているからだ。
きっとここは、師匠たちの中なんだ。
だから、聞こえる。
師匠たちの声。
悲しい
苦しい
痛い
生きたい
死にたくない
子供に会いたい
でも、どの感情よりも大きな声。
これで、死ねる。
穏やかな、気持ち。
それから。
レイシア。ごめん。
それに、僕は泣く。
ふたりの意志に。
ふたりの決意に。
ふたりの愛に。
師匠。
あなたちは、こんなにも………