zinma Ⅱ
いまの言葉を、自分が言ったのか、『選ばれしヒト』が言ったのか、わからない。
僕らは完璧に混ざってしまったようで。
もう何も感じない。
僕から感情が消えた。
それに僕は。
最後の呪文。
師匠たちを食べる。
『神の呪い』の呪文を、唱えた。
『イルト。』
どこだったか。
こんな言葉、聞いたことがある。
どこだったっけ。
魔法陣が光る。
肌と同じ、青白い、美しい光が。
どこで聞いたんだっけ。
ひどく懐かしい響きな気がするけど。
光が放たれる。
真っ黒な蛇と、鳥を侵すように。
蛇と鳥が、ひどく耳障りな叫び声をあげる。
だが僕は、それにも何も感じない。
なんだっけ。
ああ。あの呪文だ。
どこか懐かしい、あの言葉。
蛇と鳥が、光に侵され、白くなっていく。
この真っ白な世界に、まざってゆくように。
ああ、そうだ。
僕の名前だった。
だれかが名付けてくれた、名前。
2つ目の名前だ。
そこで、侵され崩れた蛇と鳥のかけらが、僕の中に、吸収されていく。
空腹が満たされていく。
だがなぜか。
それと同時に、ひどく身体が痛む。
身体に入ってきた、強力な異物に、もとは人間であった身体が、悲鳴をあげる。
それに顔をしかめながら、僕は思い出す。
ーーー静かに空でまたたく星のようだ
だから『星の子』と名付けたんだ
だれかが、そう、言った気がする。
それに僕は笑う。
自分を自嘲するような、悲しい笑い。
『星も…………
いつかは消えるんだ。』