zinma Ⅱ
「もう……ここまでだ。
私たちの子供のことは、まかせる。
小屋に、いくつか魔法陣を残しておいた。あとは発動するだけ。
それで、お前に伝えておきたいことを、残しておいたから……」
魔法陣が消える。
カリアはもう目が見えないようで、目をさ迷わせている。
もう、死ぬのだ。
そこで、僕の頬から、雫が落ちる。
地面にシミを作る。
僕の頬を触ってみると、濡れている。
泣いていたようだ。
でも自覚がない。
目の前の光景にも、別に何も感じない。
なんだか、瞳にだけ、人間の感情が残っているようで、変な感じがする。
あと少しで、すべての『呪い』が、僕に食べられる。
あと少しで、師匠たちが死ぬ。
カリアがゆっくりと、眼を閉じる。
呼吸が、小さくなっていく。
ファギヌが、どんどん冷たくなっていく。
カリアの手が、なんとかファギヌの手を探そうと、ゆっくり、動く。
『呪い』が、全部僕の中に、入った。
とたん、僕の身体に、恐ろしいほどの痛みが走る。
あまりの痛みに、気が遠くなる。
意識が引っ張られるようにして、消える途中。
真っ白に塗られていく景色の中。
ファギヌの手に触れられる直前。
カリアの手が、動かなくなったのを見た。