zinma Ⅱ



そんな噂が広まり、村にたくさんの人が来るようになってから、3年。



まだその噂が真実かどうかは確かではなく、その噂を耳にした多くの人は、

そんなのはただの噂。

何かの言い伝えが今になって噂になっただけ。

だと言い、実際に村に行くものは少なかった。




しかしごく少数、その噂を信じ、村へ向かった者たちは知っている。



奇跡の少年は、存在する。






それどころか、その村のものたちは、もう6年もの間その少年を、神童として崇めていたのだ。



村の一番高い場所。


村がある山の、頂上に近い場所。



そこに建つ、赤く塗られた、小さいがところどころに伝統の装飾が施された祠のような建物。




そこに彼はいる。







彼には不思議な力がある。



枯れた花を蘇らせたり、風を操ったり、水の流れを変えたり、人にはできないことができた。



しかも彼は。



成長しない。



5歳の姿から、まったく変わらなかった。






その少年は、ある日この村に捨てられた孤児であったために、なおさら村の者たちは、その子供が神の子供だと信じ、崇めた。



少年もできるかぎりそれに答えた。




3年間村の者たちに答え続け、さらに3年間、他の街から来る人々にも答えた。




だれもが彼の、異常に美しく、神秘的な姿に、心酔していった。












< 38 / 104 >

この作品をシェア

pagetop