zinma Ⅱ
そんな噂が広まり、村にたくさんの人が来るようになってから、3年。
まだその噂が真実かどうかは確かではなく、その噂を耳にした多くの人は、
そんなのはただの噂。
何かの言い伝えが今になって噂になっただけ。
だと言い、実際に村に行くものは少なかった。
しかしごく少数、その噂を信じ、村へ向かった者たちは知っている。
奇跡の少年は、存在する。
それどころか、その村のものたちは、もう6年もの間その少年を、神童として崇めていたのだ。
村の一番高い場所。
村がある山の、頂上に近い場所。
そこに建つ、赤く塗られた、小さいがところどころに伝統の装飾が施された祠のような建物。
そこに彼はいる。
彼には不思議な力がある。
枯れた花を蘇らせたり、風を操ったり、水の流れを変えたり、人にはできないことができた。
しかも彼は。
成長しない。
5歳の姿から、まったく変わらなかった。
その少年は、ある日この村に捨てられた孤児であったために、なおさら村の者たちは、その子供が神の子供だと信じ、崇めた。
少年もできるかぎりそれに答えた。
3年間村の者たちに答え続け、さらに3年間、他の街から来る人々にも答えた。
だれもが彼の、異常に美しく、神秘的な姿に、心酔していった。