zinma Ⅱ


『選ばれしヒト』の『吸収』と、『呪い』の『吸収』の違いとは、その力の大きさだ。


『呪い』による『吸収』は、強い『呪い』が弱い『呪い』の力を食べるがゆえに、取り込まれた『呪い』は十分な力を発揮できない。

しかし『選ばれしヒト』の『吸収』は、力が弱くなるどころか、『選ばれしヒト』の能力によっては、より大きな力を使えるのだ。




しかし、それだけ膨大な力を使う『選ばれしヒト』は、『呪い』と同じように、その力に見合った大きな代償を支払わなければならないのだ。


その代償とは2つ。



そこで僕は、その話をしてくれたときの、カリアとファギヌの顔を思い出す。


ひどく辛そうな、顔。



ーーーお前は産まれたときにすでに、その代償を払って産まれてきているのだ。


と言うカリア。


ーーー……代償?


僕は聞く。




ーーー……お前の命と、義務だ。


ーーー命……?

僕は思わず、奮えた。



ーーーそう。命だ。お前が『吸収』した力を使う度に、お前の命は削られる。



ーーー……でも、カリアの話では、僕が軍から逃げ切れたとき……


それにファギヌが答えた。


ーーーそう。君は力を使った。だから君はあのとき、命を削られた。





そこまで思い出して、僕は記憶をたぐるのをやめた。


どうやら、あのときに使った『呪い』は比較的に弱い能力の『呪い』であったために、あまり影響はないらしいし。


それに………


きっとこれから、僕は必ず力を使わなければならない状況に何度も出くわすだろう。



そんな状態にならなくてもいいように。


力に頼らなくてもいいように、今カリアとファギヌは僕を鍛えているのだという。


だから僕も、必死で力をつけている。




ただ、2つ目の代償。


『義務』については…………








< 4 / 104 >

この作品をシェア

pagetop