zinma Ⅱ
『選ばれしヒト』の『吸収』と、『呪い』の『吸収』の違いとは、その力の大きさだ。
『呪い』による『吸収』は、強い『呪い』が弱い『呪い』の力を食べるがゆえに、取り込まれた『呪い』は十分な力を発揮できない。
しかし『選ばれしヒト』の『吸収』は、力が弱くなるどころか、『選ばれしヒト』の能力によっては、より大きな力を使えるのだ。
しかし、それだけ膨大な力を使う『選ばれしヒト』は、『呪い』と同じように、その力に見合った大きな代償を支払わなければならないのだ。
その代償とは2つ。
そこで僕は、その話をしてくれたときの、カリアとファギヌの顔を思い出す。
ひどく辛そうな、顔。
ーーーお前は産まれたときにすでに、その代償を払って産まれてきているのだ。
と言うカリア。
ーーー……代償?
僕は聞く。
ーーー……お前の命と、義務だ。
ーーー命……?
僕は思わず、奮えた。
ーーーそう。命だ。お前が『吸収』した力を使う度に、お前の命は削られる。
ーーー……でも、カリアの話では、僕が軍から逃げ切れたとき……
それにファギヌが答えた。
ーーーそう。君は力を使った。だから君はあのとき、命を削られた。
そこまで思い出して、僕は記憶をたぐるのをやめた。
どうやら、あのときに使った『呪い』は比較的に弱い能力の『呪い』であったために、あまり影響はないらしいし。
それに………
きっとこれから、僕は必ず力を使わなければならない状況に何度も出くわすだろう。
そんな状態にならなくてもいいように。
力に頼らなくてもいいように、今カリアとファギヌは僕を鍛えているのだという。
だから僕も、必死で力をつけている。
ただ、2つ目の代償。
『義務』については…………