zinma Ⅱ
だが。
そこでシギはふせた視線の先にある自分の手を見る。
小さな、子供の手。
だがシギは、本当は今年でもう16になるのだ。
それがなぜか、5歳のころから、まったく成長しなくなった。
始めは村の者たちも、少し成長の遅い男の子、というくらいにしか思っていなかったが、10歳になったころに、異変に気づいた。
さらにそのころ、枯れてしまった牧草を、彼が元に戻したという事件が起きたことをきっかけとして、彼を神童として奉った。
それ以来、こういう毎日が続いている。
そこでシギは、考える。
この生活は、つらくは思わないんだ。
孤児を育ててくれる村の者たちには感謝しているから。
ただ。
この毎日が、一生続くというのを考えると、どうしても先が見えないのだ。
この特別な力に助けを求めてくる人たちの相手をして死んでいくには、人生が長すぎる。
この力は、ほんとにこんなことに使うための力なんだろうか。
そこまで考えたところで、祠に人が入ってくるのがわかる。
それにまたシギは顔を上げ、真っすぐに祠の入口を見る。
おそらくさっき村の者が言っていた来客だろう。
また願いを叶えてくれだとか、何か頼みごとをしに来る人。
その無茶な願いに答えられるように、集中する。
だが、祠に入ってきたのは、あまりにも予想外の姿をした人だった。