zinma Ⅱ
「…ご両親のことについて話す前に、まず理解しておいてもらいたい話があります。」
そして青年は、シギにある神話を話した。
神と『呪い』の話。
まるでお伽話のような、この世からは掛け離れた話。
それを始めは適当に聞いていた。
なぜそんなお伽話をするのかわからなかったから。
しかし、その神話を話し終えたところで、青年が言う。
からっぽの笑顔で、笑いながら。
「まあ、信じられる話ではないですよね。」
それにシギは正直にうなずく。
すると青年が、
「では、信じてもらわなければ。」
と言って、右腕を軽く持ち上げる。
そしてその腕をくるっと軽く振るうと、信じられないことが起きた。
青年の右腕が、青白く、光っている。
「実は私も、産まれながら一種の呪いをこの身に受けたものでして。」
そう言って自嘲するように微笑む青年を、シギは馬鹿みたいに呆然と見つめる。
青年の不思議な色の瞳が、煌々と光り輝いている。
明らかに、未知の存在だ。
だが、畏怖や嫌悪の目で見られる存在ではない。
賛美だ。
目の前にこんなものがいるのに、他の不思議な存在を信じないわけがない。
そのシギの気持ちを読んだのか、青年は腕をまた振るい、光りを消す。
人間の姿に戻る。
そして言う。
「ここから先を私から話すには、少々荷が重い問題なので……」
青年はそこまで言うと、かばんから何かを取り出す。
手の平におさまるほどの、小さな石だ。
ただその石には、見たことのない模様が描かれている。
それを青年は一度、握る。
そして手を開くと、その石の模様が、淡く光っている。
そして突然、目が開かないほどの光が、石から放たれる。
シギはとっさに目をつぶる。
光で視界が真っ白に塗られていく中、遠くのほうで青年が言う。
「ここから先は、ご両親から直接聞いてください…」