zinma Ⅱ
光が消えたあと、祠には変わらず静寂が訪れていた。
光を放ったあとの石が、力無く床に転がっている。
目の前の台座の上で気絶している少年を、レイシアは見つめていた。
懐かしい、顔。
彼らの血を確実にひいた、そっくりな顔だ。
まだあれから半年しか経っていないというのに。
ひどく昔に感じる。
レイシアは、自分と同じ年なのに、見た目はまだ小さな少年の姿をした彼を、体を痛めないような体制に動かす。
さらりと顔からすべり落ちる紺色のつやつやな髪。
切れ長の目。
そしていまは閉じられた、金色の瞳。
どれもが懐かしくて。
いまはもう働くことのない人間の感情を、想う。
前の自分なら、ここで泣いたりするのだろうか。
そこで思考を止め、レイシアは祠の入口から見える、穏やかな外の景色を眺めた。