zinma Ⅱ
シギが目を開くと、そこは光が消えたあとも真っ白なままだった。
まるで夢の中にいるように、どこかぼーっとした、思考に靄がかかったような感覚だ。
視界もまた、はっきりしない。
そのぼんやりとした視界。
少し先に、だれかが立っているのが見える。
2人の大人だ。
なんとか目をこらし、だれなのか見ようとする。
するとそれが、男女だということがわかる。
もっと目をこらす。
その片方の女の人が、話す。
「やっと……、会えたか。」
声が震えている。泣いているのか?
次に男の人のほうの人影が話す。
「私たちには、君の顔を見ることができないけど。
君には私たちが見えるんだよね?」
それにシギはうなずく。
だがそれに男の人が、
「…今君がうなずいたかどうかも、わからないけど。」
あっちからは見えないのか?
そこでなぜか、さっきの青年の声が響く。
「これは、記憶を封印したものなんです。
その2人が君に伝えたいことを記録したものなので、彼らと会話することはできないんですが。
ただ、彼らの記憶を見るだけです。」
それにシギは納得する。
それにしても彼らはだれなんだろう。
まだ姿もはっきりしないし。
と、そこで。
女の人が口を開く。
「まだ混乱しているだろうな。
まずは……私たちが、だれなのか。」
男の人が継ぐ。
「こんなこと改めて言うのは、厚かましいような気がするんだけど。」
そこでなぜか、突然視界が晴れる。
はっきりと2人が見える。
なぜか懐かしくなる顔。
茶色に近い金髪と瞳の背の高い男の人。
紺色の長い真っすぐの瞳に、切れ長の紺色の瞳の女の人。
その男の人が言う。
「これでも、君の産みの親だよ。」