zinma Ⅱ



この人たちが…………




シギは意外と驚かない自分に驚いていた。


たぶん、この人たちを見れば、両親だと言われても納得がいくのだ。


自分にそっくりな2人。



自然と


涙が。






男の人が言う。


「驚かせてしまっていたら、ごめんね。」

そう言って、困ったように笑う。


女の人が言う。


「私の名前はカリア・サン。夫はファギヌ・サンだ。」



カリアと、ファギヌ。

母さんと、父さんの名前……



それから母さんは、悲しげに顔を歪めながら、言う。


「こんな手段でしかお前に会えなくて、ほんとうにすまないと思っている。」



涙がボロボロとこぼれ落ちる。


今まで一度だって本当の両親に会いたいと思ったことはなかった。

なのにいざ両親が現れると。

それも明らかに両親だと、自分の心が叫ぶから。

涙が止まらない。




父さんが言う。


「みっともない話だけど、自分の子供を捨てたことに、言い訳させてほしい。」




そう言うと、真っ白な世界から、景色が変わる。



森の中の小さな村。

魔術師の村に産まれた、少女と少年。



そのうち2人は村で一番の魔術師になった。



そこまで見せられて、父さんが言う。


「これは私たち2人の過去だよ。」

それにうなずいて母さんも続ける。

「私たちはルミナ族という、いまは途絶えたと言われている魔術師の一族に産まれた。」



ルミナ族……

聞いたことはある。


あまりに有名な話だ。

数百年前に姿を消したと言われる強大な力を有した魔術師の一族。

もうルミナ族の話は伝説になっていて、ほんとうの歴史だとはまず思っていなかった。

ただの言い伝えだと。

それが生きていて、さらに父さんと母さんがその一族の者で。

その中でもずば抜けた才能の持ち主で。



ということは……





< 47 / 104 >

この作品をシェア

pagetop