zinma Ⅱ
「お前はルミナ族の血をひいている。」
母さんが言う。
「おそらく、不思議な力が使えるんじゃないか?
自然に干渉できるような力だ。」
たしかに使える。
だからあの青年は言っていたのか。
不思議な力を持っていることが、この人たちの子供である証拠。
じゃあ、この成長しない身体はなぜだろう?
父さんと母さんは成長しているのに…
そこで父さんが険しい顔をして言う。
「もしその他にも、人にはできないような不思議な力…
たとえば身体の異変とかが起きていたら、それも私たちの責任だ。」
父さんには声が届かないはずなのに、父さんは疑問に答えるように話してくれる。
それだけでなんだか嬉しくなる。
だけど。
この身体のことまで父さんたちの責任……?
母さんが言う。
「その異変の理由を知るには、ここから先の私たちの過去を知らなければならない。」
そこで母さんが、悲しげに顔を歪める。
「お前にはつらい景色かもしれないが、知ってほしい。」
そこでまた景色が変わる。
またさっきと同じ村だ。
だが様子がちがう。
兵隊だ。
あの鎧を見るかぎり、あれは王都の兵隊。
その兵隊たちが、村を焼き払っている。
村の人たちはなぜかまるで抵抗しない。
父さんと、母さんも。
抵抗しないまま、降伏した。
そこからの景色は、母さんが言っていたとおり、シギには見ていられない景色ばかりだった。
村を守るために、人質として、兵士として王都に向かった父さんと母さんが、ただひたすら戦場に赴き、その戦闘の才能でたくさんの人間を殺している。
まだそんな世界を目の当たりにしたことのないシギには、気絶しそうなほど恐ろしい光景だ。
なのにシギは意識を保っていられた。
なぜなら。
人を殺している父さんたちの顔が、泣きそうに歪んでいたから。