zinma Ⅱ
シギはそれを見て、涙を流し続けた。
心が張り裂けそうなほどに、痛む。
さらにもっとひどい悲劇が起きる。
父さんと母さんが、愛し合った。
あの血だらけの戦場の中で産まれた、新しい希望だった。
母さんは妊娠した。
あれはきっと……
母さんの声が響く。
「あれはお前だ。」
ひどく優しい声。
「殺人兵器だった私たちにも、やっと人並みの幸せが訪れたんだ。」
だが。
母さんたちの過去は、あまりにも残酷だった。
子供を産むことも許されず、まるで見せしめのように、お腹の子供ごと、死が確定した戦場に送られた。
たとえ強い父さんと母さんでも、太刀打ちできなかった。
お腹の重い母さんが、膝をつく。
その母さんに向かって、敵兵が剣を振り下ろす。
父さんがその間に入った。
必死で。
愛するものと、子供を守るために。
振り下ろされた剣をなんとか父さんは受け止めるが、その隙に他の兵に頭を殴られ、吹っ飛ぶ。
その父さんに、母さんが悲痛の声を上げながら駆け寄る。
だがその母さんを。
敵兵が剣で貫いた。
父さんたちは瀕死の状態になって、やっと村へ返された。
そして契約したのだ。
『呪い』と。
シギを産むために。
このまま一族が滅びないように。
役目を果たすために。