zinma Ⅱ
母さんが続ける。
「レイが、『選ばれしヒト』として、私たちの『呪い』を食べたとき、おそらくレイは…
その場で私たちから食べた『すべてのものの時を止める呪い』を使ったんだ。」
それを父さんが継ぐ。
「私たちからすべての『呪い』が吸われたとき、きっとレイは、自分に『呪い』をかけたんだろう。
レイの中に吸収された2つの『呪い』が、完璧にレイの血に混ざってしまう前にね。」
自分に『呪い』をかける?
それは……
そこでシギの気持ちを読んだように、母さんが言う。
「とても危険な行為だ。
ただでさえ『選ばれしヒト』は……」
と、そこで母さんは言葉を止め、顔を歪める。
その母さんの肩を抱き、父さんが言う。
「自分の中の『呪い』が血に混ざるのを止め、そうすることで、『呪い』に残っていた私たちの意識を保存したんだよ。」
「そんなことが………」
驚いてシギが言うと、父さんが、なぜか悲しい顔で言う。
「できるんだよ。
どうやらレイは、歴代の『選ばれしヒト』の中でも、飛び抜けて優秀なようだからね。
いろんな面で………」
そこでやっと母さんが口を開く。
「……そして今日お前に会って、おそらくレイは、お前が私たちの記憶を見て気を失っている間に、私たちの意識をこめた自分の血をお前に飲ませたんだろう。」
あの人……
いつの間に……
「そうすることで、お前の中に受け継がれたほんの少しの『呪い』の力と反応して、大きくなった私たちの意識を、自分にかけた『すべてのものの時を止める呪い』を解除することにより、蘇らせたんだ。」
「でも……
なぜそんな大掛かりなことをしてまで…」
そうシギが言うと、父さんがまた悲しい微笑みで答える。